ハイレゾをただの一過性のブームに終わらせないために
こちらの記事で取り上げられている山下達郎さんの発言、良い意味で考えさせられたので、書き留めておきます。
山下達郎氏「ハイレゾには興味がない」 - ドラムスコの音楽ブログ
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ここで山下達郎さんの仰られている48khz 24bitは、マスター音源だと思われます。CDは、44.1khz 16bitなので、ハイレゾの定義がCD以上のサンプリングレートとビット深度であればハイレゾですね。
2015/06/23 07:44
長文のブックマークコメントになってしまい最後まで入りきりませんでしたので、この続きを。
これまでの日本のレコーディング現場は、山下達郎さんの仰られている48khz 24bitで録音しマスタリング時に、44.1khz 16bitにダウコンバートしCDメディア化するという具合でした。なので昨今のハイレゾリマスターなんてのはブームの便乗ビジネスという印象を受けます。
というのも配信されるのが96khz以上の高サンプリングレートでもマスター音源が48khzですから。
ただ全く効果がないというわけでもなく…。48khzで録られた音素材を96khzでmix処理するだけでも大分変わります。
ただし単純なアップコンバートだとほぼ無意味です。お弁当の中味をそのまま大きなお弁当箱に移しただけ、みたいな感じですね。そういうのが実際多いのが問題だと。
ハイレゾという言葉自体になんだか胡散臭さも感じるのですが、高音質ブームをただの一過性のブームで終わらせない為にも音楽業界全体でリスナーに誤解のないように真摯に対応していくべきだと考えさせられる記事でした。
という風にコメントを作ったのですけど、コメント文字数に制限あるのですね。。。
閑話休題。
音質は良い方がいい。でも、確かにこれはジャンルと音楽性によると思います。ガレージロックの音源を高音質で聴いてもあんまり楽しくはないですし。
やはり音の大小の大きい音楽ジャンルに向いているとは個人的に思います。クラシックだったりとか、JAZZだったりとか。あと、ライブ音源とか。
とにかくハイレゾブームに乗っかった便乗ビジネスは根絶すべきです。リスナーに本当の意味で高音質体験をさせられないのであれば、「なんだ、あんまり変わんないし損したわ」と思われて終わりなので、一部のいい加減なビジネスに、高音質の印象を悪くされるのは単純に嫌ですね。非常に勿体無い。
Studio One 3がどの様なクリエイターにお勧めなのかを考えてみる
DAWはあくまでもツールです。道具とそれを使う人に相性が存在するのはごく自然なことです。如何に優れたツールでも相性が悪ければ最大限のパフォーマンスを発揮することは難しいです。というわけで今回はStudio One 3が一体どの様なクリエイターにお勧めなのかを考えてみたいと思います。
#エンジニア思考の人には俄然お勧め
先ずこちらをどうぞ。
こちらのエントリーにも書きましたが、僕はそもそもStudio Oneはエンジニアに好まれると考えています。音を扱うエンジニア、マスタリングエンジニアとかミキシングエンジニアですね。
例えば既に完成形がみえているものを如何に良い音質でより良く組み立てるのかということを考えた時に非常に強力なツールだと自信を持ってお勧め出来ます。
とはいえ、上記に挿入したエントリーにも書いた通りStudio One 3になり極端なエンジニアライクな設計は、かなり改善はされています。ですが基本的には、クリエイティビティを要求される作業には弱いという印象は未だに持っています。
貴方がエンジニア思考であればStudio One 3の設計はバシッとはまるでしょう。具体的に考えるのであれば、MIXやマスタリングの依頼が多いとか、そういう人にとっては便利だと思います。
逆に作曲の依頼が多いとか、曲をそもそも完パケまで持っていく必要がなくDEMOをガンガン作りたい様な人であれば、もっと使い易いDAWは他に沢山あると思います。Ableton LiveとかBitwig Studioであったりとか、そっちの方がバシッとはまると思います。
#プレイヤーに対してもお勧め
もし貴方が何かしらの楽器のプレイヤーで良い音で録音したいというのであればお勧めです。
ただ楽器を練習する為だけの用途で更に音質にもこだわらないのであれば実際DAWはなんでもいいのですが、だったら無料で使える方がいいですよね。そうです、Studio One 3には無償で提供されているバージョンがあります。機能制限はあるのですが、用途が楽器の練習であればさほど問題にはなりません。サードパーティー製のプラグインに対応していないのとマスタリングプロジェクトが使えないのと、あとアレンジメントトラックが使えないという感じです。細かい部分も仕様の違いが結構あるので、その辺りはオフィシャルサイトを熟読し検討してみてください。
#ボーカロイド使いたい人
ピアプロスタジオというボーカロイドエディタVSTiプラグインが使えます。バンドルも発売されてるのでお得です。
基本的にサードパーティ製のプラグインは使えないのですが、バンドルで購入した場合は、ピアプロスタジオは機能制限が限定解除され使えます。こちらも細かい仕様に関してはオフィシャルサイトで良く確認して下さい。1つ注意点がありStudio One 3には、64bitと32bitのバージョンがありますが、ピアプロスタジオの方も仕様するStudio One 3のbit数に合わせて下さい。64bitのStudio Oneを使っているならピアプロスタジオも64bitのバージョンをインストールしないとVSTiプラグインが認識されません。64bitのDAWの様なホストアプリケーションで32bitのプラグインを読み込む方法はあるのですが、個人的には非推奨です。あと、32bitのホストアプリケーションで64bitのプラグインは動かないので、この点も注意して下さい。
#まとめ
個人的な主観で考えてみました。結局エンジニアにお奨めなのか、じゃあ自分には関係ないやと思ったDTMerは、こちらを一読下さい。
Studio One 3になりベクトルと仕様に変化はみられますが、個人的には、やはりStudio Oneはエンジニアに対して圧倒的なパフォーマンスを発揮すると考えています。DTMをやっているならエンジニア的な思考、視点、作業が必要ない人はいません。今必要な作業によって仕様するDAWを変えるのは、最早常套手段ではないでしょうか。その点を考えても音楽的なエンジニアリングを考え無償でも使えるStudio One 3は、導入しやすいと思います。
きっとこれからの時代のDAWの設計自体が複数のDAWソフトの仕様に柔軟に対応していくのではないかと、僕は考えています。
他社の製品と差別化するということは他では補えない個性を有するということです。ともなると、他では補えないのだから使うという選択肢しかなくなります。そして本当に魅力的なツールというのは、ある意味では不便なものだと僕は考えています。ただ不便とはいっても何でも出来るということを追求した先にあるものとは全く異質で、これが得意なんだということを突き詰めた先にあるもので、そういう偏ったツールが僕には非常に魅力的に映ります。
この記事がDTMを始めたいけど、どのDAWを買えばいいのか迷っているという人の指針に少しでもなれれば幸いです。
#関連リンク
こちらで各バージョンごとの詳細を確認してみてください。
#関連記事
これまでエンジニアライク過ぎたStudio Oneですが、どうやら今回のStudio One3は少し違う様子ですよ
今回もStudio One3ネタです。
Studio One2をStudio One3にアップデートして約10日ほど経ちました。
10日ほど使ってみて感じたこと思ったことを記事としてまとめます。
#Studio One3は作曲やアレンジにも使える
DAWなんだから当たり前だろという突っ込みを入れたくなる見出しですが、僕はこれまでStudio Oneでの作曲を楽しいと思ったことはないです。
作曲するならAbleton Liveでやった方が楽しい。
これって凄い弱点じゃないのかなと今まで思っていたんです。
つまり、これまでのStudio Oneは、良くも悪くもエンジニアに好まれるDAWであり、ミックスやマスタリング以外の用途で使いたいとあまり思えないツールでした。
良い素材を良い状態で料理する為だけのツールという感じ。これが悪いという訳ではないのです。極端な話やることが決まっているプロジェクトにクリエイティビティなんて必要ないですし、良い音質であれば問題なしです。
その点で、これまでのStudio Oneはとてもエンジニアライクで素晴らしかった。ただ仕様がエンジニアライク過ぎるというのは恐らく開発陣も感じていたのでしょう。
ということでStudio One3は、これまでのStudio Oneと一味違います。“クリエイティビティ”、“インスピレーション”、“コントロール”をコンセプトに開発されたという今回のバージョンは、エンジニアに対してだけでなく、コンポーザーやアレンジャー、プロデューサーに対するパフォーマンスも非常に高い作りになっていると感じます。
スクラッチパッドを使えば気軽に様々なアレンジを試すことが出来る。
更に、拡張FXチェーンやMulti Instrumentを使用することで新しいインスピレーションが生まれる。
純粋にいじるのが楽しい様な仕様に寄せてこようとしているのを感じ取ることが出来ます。
勿論、これまでのStudio Oneの長所は失われておらずいいバランスだと個人的には思います。
#プラットフォームとして様々な機器をコントロールする
これはStudio One3になる前々からですが、ReWireに対応しており、他のDAWと組み合わせることで、作曲が楽しくない等の短所は埋めることが出来るのですけど、アレンジトラックとスクラッチパッドは他のDAWと組み合わせて使うと本当に便利です。
Studio Oneから様々なソフトウェアをコントロールすることで動作が軽くて高音質ということを最大限に活かすことが出来、ReWireによるMelodyneとの連携、楽譜作成ソフトウェアのNotionとも統合可能。IOSのStudio Oneとの連携やハードウェアとの連携も今後更に力を入れていきそうな雰囲気もありますね。なるほど、これがコントロールというコンセプト、恐らくここからまだまだ仕掛けていくのだろうと予想してます。
Studio OneをメインDAWにしてそこから様々なツールをコントロールするということが、これまでにない高いレベルで環境の統合が可能になった今、Studio Oneが目指しているのネクストスタンダードというのは、既存のDAWとも柔軟に連携出来るプラットフォームと言い換えることが出来るのではないかと感じます。
#まとめ
今回は、Studio One3のコンセプトを踏まえた上で使用してみた感想を記事にしてみました。
“クリエイティビティ”、“インスピレーション”、“コントロール”
というキーワードを頭に入れた上で使用しているとなるほどと納得させられる部分が多々ありました。MIDI関連の機能が弱かったこれまでのStudio Oneですが、その辺りも色々と改善されている様子なので、またその内にその辺りのことも記事としてまとめることが出来るといいなと考えています。